COLUMN
2024.01.11
vol.532「雪の山」
山田 芹香(スタジオ誠晃舎)
1月も半ばに差し掛かり、1年で最も寒いとされる『大寒』に向けて、冷たさが一層厳しくなってきました。暖冬と噂され、今年の雪は少ないだろうと高を括っておりましたが、新潟市内では珍しく道路を覆うほどの雪が積もりました。昨季も何度か大雪に見舞われ、通勤にも苦労したことが思い出されます。
しかしながら、冬の訪れは厳しい一方で、私にとっては憂鬱なだけでなく、特別な楽しみも秘めています。それはこの季節にしか味わえないウインタースポーツ、具体的にはスノーボードです。学生時代に初めてスノーボードに挑戦して以来、今も趣味や仕事を通して毎年楽しみながら学ばせてもらっています。中でも特に印象深い経験が、「平標山」でのフルハイクアップです。
群馬県みなかみ町と新潟県南魚沼郡湯沢町の境に位置する平標山は、リフトやゴンドラのないまさに“THE・山”で、その標高は1,984メートルです。この天然の雪山を自分の足で登り、整備されたコースがない斜面を滑り降りるバックカントリーは、危険が隣り合わせのスポーツですが、それゆえに得られる景色や空気は格別です。この日は取材同行ということで、カメラをぶら下げてバックカントリーの師匠たちに同行させていただきました。息も絶え絶えに、アミノ酸を補給しながら登ること4時間半、頂上まで無事にたどり着くことができました。その達成感と美しすぎる景色は、一瞬で疲労を溶かしてくれます。
刻一刻と変化する雪質を見極める師匠達に便乗する形で、まっさらな斜面にドロップイン。最後は安全に気をつけながら滑り、帰路に着きます。バックカントリーは本当に多くの危険が潜んでいます。必要な装備や保険、知識など、準備することが多岐にわたり大変ですが、これからもっと素晴らしい景色を収め、伝えられるように、貪欲に登り、写真を撮っていこうと思います。