COLUMN
2016.07.15
vol.173 「町並みのデザイン」
山際 直子(グラフィック課)
毎日スッキリしない空模様が続いていますが、
早く梅雨が明けて外を気持ちよく歩きたいですね。
この時期、夏の旅行を計画されている方も多いのではないでしょうか。
今回は、住民の手で造られた観光地について書きたいと思います。
各地に古い町並みを再現して観光を活性化させている場所がありますが、
新潟にもいくつかそういう場所があります。
まず、比較的新しい場所で、2009年に完成した
「三国街道 塩沢宿 牧之通り」について紹介します。
「三国街道 塩沢宿 牧之通り」は南魚沼市にある、
江戸時代の宿場町の雰囲気を再現し、
雪国ならではの雁木が整備されている美しい通りです。
地域住民が話し合い、町並みを再現しようと
建築物の外観を統一し、色彩制限を定めるなど
デザインルールを設けて復元に取り組んだそうです。
その通りを実際に歩いてみると、空の広々とした感じに
ちょっとした違和感を感じます。
その理由は、電線が1本も無い景色だからです。
電線などを全て地中に埋めているため、通りからは全く視界の
じゃまをするものがありません。
現代ではないような、少し不思議な感覚を味わいました。
もう1ヶ所は、古くからの観光地である村上の町についてです。
新潟県の最北端に位置する村上市は、透明度の高い海岸や、
瀬波温泉という温泉地があり、夏には村上大祭という大きなお祭もあります。
村上の町には、城下町の雰囲気を残した町家造りの
商店や民家が点在しています。
見事に再生された町家や、通りの整えられた黒板塀は、
市民自らの手で市民基金を設立し、再生されたもので
あることを知りました。
行政に頼らず自分達の手で古い町並みを残し、
再生するという取組みを始めて、
町は徐々に趣のある町家の雰囲気を取り戻しているのです。
これら2つの町に共通していたのは、お店の人の
親切で丁寧な、もてなしの接客でした。
観光に来る人達を、とても大切にしているんだと
感じることができました。
そこに住む人たちの力でデザインされた町並みは、
観光客を惹きつける力があります。
また、環境が人を作るというように、美しい町が人を
育てるのかもしれないとも感じました。
今年の夏休みは、古い町並みを訪れて癒やされてみては
いかがでしょうか。