COLUMN
2015.12.04
vol.143 「モノづくりと思い」
原 正夫(プロダクトデザイン三条lab.)
私、30年以上商品開発やらデザインやら
モノづくりの仕事をしています。
好きでやってる仕事ですが、なかなか大変です。
この間、ふとした事から、ふとしたモノが目にとまりました。
それは『きりんちゃん』であります。
『きりんちゃん』の正体は黄色のタオル地ボディに茶色の斑点、
ちょっと太目の首で巾15cm高さ25cmくらいの手触りフカフカな
キリン型赤ちゃん用おもちゃです。
「それがどぉしたの?」と思うでしょうが、
これがびっくりで、なんと20年以上前に私の娘が
大のお気に入りだった『きりんちゃん』とまったく同じものでした。
中古ショップでもなく、売れ残りでもなく、かたちもパッケージも
何も変わらずにデパートで堂々と売られていました。
それを目にとめた私は、何やら突然、
『きりんちゃん』の圧倒的な魅力であり、商品力である
『 思い 』を感じたのです。
『きりんちゃん』をつくったデザイナーはどれほどの
『 思い 』を生まれたばかりの赤ちゃんへ、
そしてそのお母さんへ込めたのでしょうか。
すごい事にその『 思い 』は20年以上たった今でも
受け入れられ続け、大袈裟に言えば何千、何万人の親子を通して
これからも伝わり続けていくという事実。
モノづくりには『 思い 』が大切なんですね。
ふとした事からそんなことを思いました。