COLUMN
2015.11.20
vol.141 「ボージョレ・ヌーヴォ戦略」
大竹 伸治(営業部)
昨日11月19日(木)はボージョレ・ヌーヴォの解禁日でした。
解禁日に早速楽しまれた方もたくさんいるようですね。
そこで今一度ボージョレについてのウンチクを、
少し述べさせてもらおうと思います。
生産地であるボージョレ地区はフランスのブルゴーニュ地方にありますが、
その中でも格下のブドウ品種とされるガメイ種が使用されています。
「ヌーヴォ」とは「新酒」という意味です。
通常、良いワインは熟成のために最低でも1~2年ほど寝かせてから
蔵出ししますが、ボージョレは収穫して3か月後には世界中の店頭に並び、
その年に売り切ります。
「もっと寝かせれば美味しくなるのでは」と思われるかもしれませんが、
このボージョレの場合、味のピークは収穫された年内です。
この早く飲める以外になんの取り柄もない新酒を
世界的ブランドに仕立て上げることに成功した
ウラにはある戦略がありました。
ボージョレ地区のひとりの醸造家、ジョルジュ・デュブッフのお話です。
収穫してから早く飲めることを「個性」としてアピールし、
リヨンの3ツ星レストランで提供することで高級品として演出。
更にラベルのデザインを毎年変えることにより視覚的にアピールして、
アメリカと日本の有力販売業者へ売り込み、
販売チャンネル・市場の拡大を進めました。
そのような戦略が功を奏し、ボージョレ・ヌーヴォは定番となりました。
しかし急激過ぎる需要増は、2つの問題を引き起こしました。
1つ目は供給が追い付かなくなる問題です。
その対処として生産スピードを速める急速発酵技術を取り入れ、
早期大量生産を行い、ワインを短期間で完成させました。
2つ目は急増する運転資金をどう確保するかです。
それには原料のブドウ生産農家の組織化を進め、
材料の安定供給とコスト削減を行いました。
このような取り組みにより大量生産・大量販売が可能になりました。
また、販売代金の回収が遅れたらビジネスとして回らないため、
毎年11月の第3木曜日が解禁日であることを広報し、
予約販売の強化を進めました。
こうしたプロセス管理を行い、生産したワインを一気に生産・販売し、
確実に現金化をするビジネスモデルをつくりあげました。
現在では生産量の1/4は日本に出荷しているそうです。
がっちりですね。
バレンタインデー、節分の太巻き、土用の丑の日などなど…。
元来イベントや祭りに乗っかることが好きだったり、
周りと同じことをしたがる傾向にある日本人にとって、
特定の日と製品をつなげるのは一つの戦略として大いに有効です。
さて次は何の日を作りましょうか…。
当社はお客様の企画室として商品企画、企業戦略のお手伝いをしております。
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