COLUMN
2015.09.14
vol.131 「人をひきつける面白さや意外性」
私が子どもの頃、綺麗だと感じたものの中で一番印象に残っているのが、虹色の水たまりです。小さな作業場の横の道路に水たまりが出来ていてそれが雨の日になると、表面を七色に輝かせていました。
その正体は作業場から出た油の皮膜なので、実際は綺麗とは言いがたいものでした。しかし、綺麗な空に当然の様にかかる虹ではなく、何の変哲もない道路に、その綺麗な水たまりがあるという意外性に惹かれました。雨の日にその道を通る度、宝物を見つけたような特別な感動があったのを覚えています。
間接的ではありますが、その水たまりは、私が芸術の分野のさらにその先のデザイナーを志すきっかけの一部だったのではないかと、今振り返って思います。デザインは大衆に分かりやすく、機能的であることが第一です。しかし人を引きつける面白さや意外性は、それとは真逆の、分からないことや不思議なものの中にあると思います。
入社して、またデザイナーとして働き始めて半年も経たない若輩者ではありますが、分かりやすさと意外性を上手く使いこなしたデザインが出来るよう、日々精進していきたいです。