COLUMN
2014.12.02
vol.92 「『ザクとうふの哲学』を拝聴して」
先月、《新潟日報みらい大学》に参加してきました。
テーマは「マンガ・アニメとものづくりの可能性」。
『ザクとうふ』で知られる相模屋食料株式会社の
鳥越淳司さんによる講演と、鳥越さんに加え、
『めぞん一刻』の日本酒を販売していらっしゃる
ふじの井酒造株式会社代表取締役社長の小林政輝さん、
日本アニメ・マンガ専門学校教務部長の内田昌幸さんによる
トークセッションを拝聴しました。
『ザクとうふ』とは、人気アニメ『機動戦士ガンダム』に
登場するモビルスーツの頭部をかたどったパッケージに入ったお豆腐で、
“ガンダマー”(=『機動戦士ガンダム』オタク)にはお馴染みの商品ですし、
発売当初はかなり話題になったので、『機動戦士ガンダム』に
興味がない人でもご存知の方は多いかもしれません。
私は何度も食したことがあります。
『ザクとうふ』についてはすでに多くのことが語られていますので、
詳しく知りたい方がいたら、鳥越さんのご著書
『「ザクとうふ」の哲学』を読むなり、この日の講演内容が
webサイトにアップされておりますのでそちらをご参照いただきたいと思います。
http://www2.niigata-nippo.co.jp/mirai/lecture/10.php
個人的に鳥越さんの講演を拝聴して思ったのは、
「好きこそ物の上手なれ」ではないですが、
人は好きなものに対してはそれを苦労とは思わないし、
究極的には好きか嫌いかが勝敗を分けるのではないかということ。
巷にあふれる商品やサービスを見渡すと、
なかには後ろ向きな意味で
「これは何で作ったのだろう?」と
思わざるを得ないものもあります。
かかわった人たちの愛情を感じられないヤツです。
そういった商品やサービスは残念ながら市場から
(比較的早いスピードで)姿を消しているように思われます。
一方、それにかかわった人たちの熱量が注がれた商品やサービスは、
その熱が伝播して所謂ヒット商品になるのだと思います。
2014年のヒット商品で言えば、
USJの『ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター』が
まさに好事家たちの熱量が注がれたものであると思います。
映画『ハリー・ポッター』シリーズは多くのファンを持つだけに、
テキトーな仕掛けではファンはそっぽを向いたでしょう。
あれだけファンが殺到しているのですから、総工費以上に、
USJ関係者の熱意がすごかったに違いありません。
まあ、「下手の横好き」なんて言葉もありますし、
思いだけではやれないことが少なくないことも事実です。
しかし、少なくともこの社会で活動している以上、
携わったものには愛情を注がなければならないのだと思います。
『「ザクとうふ」の哲学』から転じて、そんなことも感じました。
これから寒くなるだけに、余計にアツアツの熱量を持っていきたいですね。