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COLUMN

2024.06.25

vol.555「レタッチャーとしての四半世紀を振り返ってみた」

柳沼 佳彦(デザイン部)

誠晃舎グラフィックデザインチーム「is good!」のレタッチャーの柳沼です。

皆さんはレタッチャーは何をする仕事がご存知でしょうか?簡単に言うと、画像のレタッチ(補正・修正・加工)を行う職種です。

この四半世紀、私がレタッチャーとして従事してきて思ったことを今回書いてみようと思います。

もう早いものであっという間に25年の月日が経ちました。私がこの仕事を始めた頃はちょうどアナログからデジタルに変わる過渡期でした。当初は、アナログカメラで撮影したポジフィルムをドラムスキャナーで入力していましたが、数年後にはデジタルカメラで撮ったデータをそのまま修正出来るようになりました。

この両方の修正経験がある方々はデジタル化により作業が格段に楽になったと感じているでしょう。私もアナログとデジタルの両方の時代を経験できて本当に良かったと思っています。両方の時代を経験出来たからこそ、今のデジタルの恩恵を十分に感じることができています。

今回私が仕事の四半世紀を振り返ろうと思ったのは、AIの登場とその急速な進化が大きな理由です。最近では画像修正も、AIを使って合成や修正ができるようになってきました。細かい部分を除けば、短時間でかなりのクオリティの作業が可能になっています。このままで行くと、自分の仕事の大半をAIに取って代わられる日も、そう遠くないと感じています。

しかし、仕事をしていて「これはAIには難しいのではないか」と思うことがあります。

一つ目は、「ナチュラル」です。これは逆になるべく修正しない自然感を意図的に作り出すことです。もう一つは、「ファジーな表現」です。これはAIが特に苦手とする分野ではないかと思います。どちらもアナログとデジタル両方で、数多くのレタッチをやってきたからこそ到達できる極地だと思っています。

最近はなるべく修正レイヤーを少なくする補正を意識してきました。なるべく修正しないレタッチの楽しさを実感しており、今後もこの仕事を続けて行くには必須なスキルだと思っています。しかしながら、今後はAIを有効活用することも忘れずに、共存していくことが一番大切だとも感じています。キーワードは、ナチュラル、ファジー、AI。これが私の新しいレタッチの基本となって行くでしょう。

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