COLUMN
2023.11.07
vol.523「デザインの思考法」
丸山 稜(デザイン部)
美術大学に通っていた頃、ある講義の中で教授が「デザインは、業界関係なくすべての人に必要で数学や英語などと同様に、義務教育課程で必要なほど大切なものだ。」とおっしゃっていました。当時もその後のお話を聞いてなるほどと納得しましたが社会人になった今、その意味をひしひしと感じています。
前回のコラム『芸術とデザインは目的が違う』で「デザイン=問題解決の手段」ということは理解していただけたと思います。
世の中にある物は、誰かにデザインされています。なぜその形や色・素材になったのか理由があります。逆に筋道を通した理由がなければデザインとしては成り立ちません。このことが「デザイン=問題解決の手段」である所以です。
そもそも問題解決とは、問題・課題を見つけて原因を分析し、解決策を講じる流れのことであらゆるビジネスの基盤となるものです。よって問題解決力は職業や役職に関係なく、全ての社会人に必要なスキルになってきます。
その問題解決のために必要となるのは「論理的思考」です。ですが、皆さんはこの方法をどこかで習ったりしましたか?おそらく仕事をする中で身につけていった方がほとんどなのではないかと思います。私がデザインを学び身についたのは、スキルや美的感覚よりもユーザーの立場に立って考える「共感力」と一番は「論理的思考」だと実感しています。
社会に出た時に必要なのに、それを学ぶ場所は限られています。だから教授は「デザインは義務教育過程に必要なほど大切」とおっしゃったのだと理解しました。中学校や高校で美術教育があるならデザイン教育があってもいいし、実際に受けられる国もあります。もしその時期から問題解決力を身につけられていたとしたら就活の際に大きな強みとなり、社会人になってからも必要なので一生の財産になると思います。