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COLUMN

2023.06.21

vol.504「車のデザイン イマ・むかし」

原 正夫(プロダクトデザイン三条lab.)

私が工業デザインの仕事に就いたのは、
今からほぼ40年前のことです。

ある自動車メーカーでエクステリアデザインを担当しました。

当時(むかし)の車の主流は4ドアセダンで、
4速マニュアル、FR(後輪駆動車)であり、
驚くべきことにエアコンはオプション設定でした。

車好きの間では、2ドアクーペで5速マニュアル、
DOHCかターボエンジンを求める傾向がありました。
馬力が落ちるのであえてエアコンは必要ないとされるなど、
熱いスペックが重要視されていました。

エンジンの吸気音や排気ガスの匂い、
サスペンションの振動に感動していました。
心配事は高性能エンジンの燃費の悪さで、
有鉛ハイオク仕様のガソリン代が高いことでした。

さて、現代(イマ)の車の主流は何でしょうか。
使い勝手の良いワンボックスカー、SUV、オートマチックFF、4WDが一般的です。

駆動方式は環境に配慮し、
モーターまたはハイブリッドが採用されています。
IT好きな人々には自動運転のスマートカーが人気で、
グーグルやアップルにお話するだけでOKの、
ゆるーいスペックが重視されています。

走行中の音や臭い、振動はほとんど感じられず、
それが当たり前になりました。
心配事はスマートフォンと同じく、
バッテリーの残量と通信障害です。

さまざまな技術の進歩は驚くべきものです。
むかしの車がイマの車よりも優れている点はほとんどないみたいです。

ただ、大きな違いにひとつ気付きました。

むかしの車は…
「自分が運転して動かす車=自動車」でしたが、
イマの車は…
「自動で運転して動く車=自動車」に
なったことを

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