COLUMN
2023.05.23
vol.500「メルマガ500回を迎えて」
伊藤 貴生(CS課企画)
私たちのメルマガが通算で500回を迎えました。
まずは、この500回のメルマガを支えてくださった
全ての読者の方々に深く感謝申し上げます。
これからも、読者の皆様に価値ある情報とサポートを提供することに
全力を尽くしてまいります。
さて、物事を継続するというと
「継続は力なり」という言葉が思い浮かびますが、
あえてこの500回を迎えた節目の回で、
継続に潜む罠について書いてみようかと思います。
先日、県立近代美術館の
『望郷の画家 橋本龍美展 ~神も、庶民も、バケモノも』
を観に行ってきました。
友人に薦められて行ったこともあり、
この橋本龍美という画家先生をこれまで全く知りませんでした。
軽い気持ちで行った展覧会ですが、
これほど衝撃を受けた展示はここ最近ありません。
序盤から中盤にかけて、すごい作品の連続に打ちのめされました。
それらの作品が描かれた年が1960年~70年代で、
その早過ぎた才能に戦慄するとともに、
加茂市という身近な場所にいらっしゃったのか
という驚きがありました。
地蔵様や妖怪が描かれた絵は、
日本画というアナログの作品ですが、
どこかデジタルっぽさも感じることができます。
例えがよくないかもしれませんが、
米津玄師の新アルバムのジャケットだと言われても
全く違和感がないくらい洗練されていて、
年配の方よりも今の若い世代が見た方が
衝撃を受けるのではないでしょうか。
展覧会の後半については、
このあとどれほどすごい作品が見られるのかと
興奮しながら見ていました。
しかし、晩年の作品群については、
私個人の感想では中盤までの作品から獲られた衝動が
やってくることはありませんでした。
どの作品も素晴らしいのですが、
やはり30~40代のころの緻密でありながらリアルで怖くて、
でもかわいらしさもある作風が晩年には変わってしまった印象です。
温かみがあって、こちらの方が好きという方も多いと思うので、
これは好みの話だとは思います。
(あくまでも私個人の感想で申し訳ありません)
私は仕事でも私生活でもイラストをよく描きます。
たまに周りから「絵が描けて羨ましい」と言われることがありますが、
いつも疑問に思っていました。
元々絵が描けたということはなくて、
絵を描くのが好きなので、
好きで描いているうちに
ある程度描けるようになったという感想です。
今描いたイラストは、明日にはもっと上手く描けると思うし、
昔描いた自分の絵はあまり好きではありません。
でも今回の件でいつでも描けば描くほど
自分の中での理想の上手い絵に永続的に
つながっていくわけでもないなと思いました。
年を取るにつれ、目、手などの体の衰えや、
思考、モチベーションなどの心の衰えも進む中で、
ある時突然上達が止まってしまうかもしれません。
そしてこれは絵に限ることではありません。
メルマガも500回を迎えたからといって慢心せず、
新たな情報を常に取り入れ、
これからも続けていければと思います。
最後に橋本龍美展は6月4日まで開催されていますので、
興味のある方はぜひ足を運んでみてください。
※ご注意:
文中にも書きましたが、橋本龍美先生の作品群への感想は
あくまで私個人の感想です。
今回の展示を観て先生は私の大好きな画家の一人になりました。