COLUMN
2016.05.06
vol.163 「明け方の視点」
たまに、明け方に散歩をすることがあります。
どこに行く訳でもなく、行きたい方向に歩き続けます。
車がほとんど走っていない中でもチカチカと変わり続ける信号や
濃紺から薄紫に明けてゆく空の色を眺めながら歩き続けると、
知っているはずの町を歩いているはずがどこか知らない土地に
迷い込んだような錯覚を覚えます。
近場にいるのに、まるで遠くに旅行へ訪れている気分になるのです。
知っているはずの町は、ただ時間帯が違うだけで
全く別の場所に思えてきます。
それは外の風景だけではありません。
自分が知っているはずのものは、視点を変えれば別のものに変化します。
デザインを考える際、一方向からだけで考えていると
視野の狭いものになってしまいます。
よって、関連の事項を調べたり、イメージを書き出すことで、
できるだけ別の視点からも商品を捉えようと心がけています。
時間帯や場所が変化することで、
思わぬアイデアが出てくることもあります。
朝の町を散策しつつも、次に制作するデザインを頭の片隅で考えていたりと、
デザインの制作は常に気を抜けないものだと、最近よく思います。