COLUMN
2015.10.05
vol.134 「古い良いもの、新しい良いもの」
山際 直子(グラフィック課)
この夏、地元新潟で、注目度の高い2つの展覧会を体験しました。
1つ目は、新潟が誇るグラフィックデザイナーの「生誕100年 亀倉雄策展」です。亀倉雄策氏初期の作品から、晩年のものまで多く紹介されていた大規模な作品展でした。1964年東京オリンピックのエンブレム、ポスター等は有名ですが特に初期の作品には感動と衝撃を受けました。まだグラフィックデザインという呼び名はなく、図案といわれていた戦前の作品は、無駄なく、美しく、手書きの技法は正にプロフェッショナル!また、70歳を過ぎてからも制作していたロゴマーク等のデザインは、今では当たり前にあるものとして日本人の生活に根付いているものばかりでした。
2つ目は、ウルトラテクノロジスト集団「チームラボ」が創る「チームラボアイランド-学ぶ未来の遊園地」です。チームラボは、デジタルコンテンツの世界で次々と話題作を手がけ、世界的にも注目を集めている企業です。強いキャラクターを持つ代表の猪子寿之氏も、しばしばメディアに取り上げられています。こちらの展覧会は、主に子どもを対象とした企画展ですが、最新のデジタル技術を使って、子ども達が感覚的に学ぶことが出来る体験型の作品展でした。新潟の展示会場でも、老若男女、家族連れが長蛇の列を作る大盛況。「チームラボ」の作品が、アート等に関心があるコアな人たちではない、いわゆる一般の人達をこれほど集められることに驚きました。
この2つの展覧会を観て、「古いものの良さと、新しいものの良さ」を感じることができました。永い年月、人の目に触れて生活に浸透していき、飽きることなく、当たり前にあるものになっていくカタチは 新鮮さだけではない、安心や安定のデザインだと思います。最先端技術を使って創り上げられたものは、それを体験するだけで、驚きやわくわくの感情がうまれて観る人をポジティブにしてくれるという事を感じました。私たち誠晃舎も、創造を仕事としています。飽きられず空気のようになっていくもの、感動と驚きを持って人々を楽しませられるもの両方を実現していきたいと、改めて思いました。